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第一条

弥陀(みだ)の誓願(せいぐわん)不思議にたすけられまひらせて、往生(わうじやう)をばとぐるなりと信じて、念仏まふさんとおもひたつこころのおこるとき、すなはち、摂取不捨(せっしゅふしゃ)の利益(りやく)にあづけしめたまふなり。

弥陀の本願(ほんぐわん)には、老少(ろうせう)善悪(ぜんまく)のひとをえらばれず、ただ信心を要(えう)とすとしるべし。そのゆへは、罪悪(ざいあく)深重(しんぢゆう)・煩悩(ぼんなう)熾盛(ししやう)の衆生をたすけんがための願(ぐわん)にまします。

しかれば、本願(ほんぐわん)を信ぜんには、他の善も要(えう)にあらず、念仏にまさるべき善なきゆへに。悪をもおそるべからず、弥陀の本願(ほんぐわん)をさまたぐるほどの悪なきゆへにと云々。

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語釈

弥陀(みだ)
阿弥陀仏の略称。西方極楽浄土の教主。
誓願(せいがん)
仏が衆生を救うために立てた誓い。阿弥陀仏の四十八願を指す。
不思議(ふしぎ)
人間の思慮分別では推し量れないこと。仏の智慧や本願の働きが人知を超えていることを示す。
たすけられまひらせて(たすけられまいらせて)
お助けいただいて。謙譲語を重ねた丁寧な表現。
往生(おうじょう)
浄土に生まれること。現代語の「往生する(困る・諦める)」とは異なり、阿弥陀仏の浄土に生まれ変わることを指す。
とぐる(とぐる)
遂げる、達成する、成し遂げる。
念仏(ねんぶつ)
南無阿弥陀仏と称えること。阿弥陀仏の名号を口に称えること。
おもひたつ(おもいたつ)
思い立つ、決心する。念仏しようという心が起こること。
摂取不捨(せっしゅふしゃ)
阿弥陀仏が念仏者を摂め取って捨てないこと。『観無量寿経』の語。
利益(りやく)
仏から与えられる恵み・功徳。現代語の「利益(りえき=利潤)」とは異なり、仏の救いによる恩恵を意味する。
あづけしめたまふ(あずけしめたもう)
預からせてくださる、与えてくださる。
本願(ほんがん)
阿弥陀仏が法蔵菩薩であった時に立てた四十八の誓願。特に第十八願(念仏往生の願)を指す。
老少善悪(ろうしょうぜんあく)
老人も若者も、善人も悪人も。あらゆる人を指す。
えらばれず(えらばれず)
選ばない、分け隔てしない。
信心(しんじん)
阿弥陀仏の本願を疑いなく信じる心。自力で起こす信仰ではなく、仏から賜る他力の信心。
要(よう)
肝要なこと、必要なこと、大切なこと。
罪悪深重(ざいあくじんじゅう)
罪と悪が深く重いこと。人間の罪業の深さを表す。
煩悩熾盛(ぼんのうしじょう)
煩悩が盛んに燃え盛っていること。欲望や怒りが激しいこと。
煩悩(ぼんのう)
心身を煩わせ悩ます精神作用。貪欲・瞋恚・愚痴など、悟りを妨げる一切の迷いの心。
衆生(しゅじょう)
生きとし生けるものすべて。仏に救われるべき迷いの存在。
願(がん)
仏の誓願。阿弥陀仏が衆生を救うために立てた誓い。
しかれば(しかれば)
そうであるから、したがって。接続詞。
まさる(まさる)
優れる、勝る。
さまたぐる(さまたぐる)
妨げる、邪魔をする。